1. 人事制度はツール

当社では人事制度の構築・運用サービスを扱っておりますが、根本的には人事制度は作らずに、組織が成長していくのであれば、それがベストだと思っています。
そして、人事制度というのは、例えば会社の規模や、組織課題などがある段階で必要になって作るものというのが私の考えです。

人事制度については、様々有名なサービスから、社労士さんが作るものまで正解は無く、色々な制度があります。
特にセールス文句などで人事制度に過度な期待感を醸成するような文言が目立つのですが、長年人事制度の構築運用を行ってきて、人事制度とはあくまで会社を経営していく上での「ツール」の一つであって、人事制度によって会社が大きく変革される、ということはありません。

2. 人事制度には上級向けと初級向けがある

例えるならば、人事制度はゴルフでいうゴルフクラブのようなものです。

まず、ゴルフをするのにクラブが必要です。では、今使っているゴルフクラブを買い替えて、ゴルフのスコアが大幅に変わるのでしょうか?

恥ずかしながら、お付き合い程度で私もゴルフをしますが、ある程度の金額をかけて数年前ゴルフセットを買い替えました。もちろん新しいピカピカの道具を使うのは心が躍りますし、上手く行く気がします。
しかし、結果としてスコアに大きな変化はありませんでした。

では、スコアを良くするには何が必要かというと、当然練習して上達するしかないわけです。当たり前ですよね。

これは人事制度も一緒で、様々な人事制度がありますが、概ねどの人事制度も突拍子も無い、大間違いなものはありません。

ただし、制度そのものの運用の難易度があります。ゴルフでも上級用クラブと初級用クラブがあるのと同様で、人事制度にも上級用と初級用があります。

例えば、上級用でいうと360度評価などは評価に携わる人が多く、運用の手間がかかります。
初級用では、まずはシンプルに5段階評価をつけるものであれば、運用は難しくありません。

そして、ゴルフでも上級者で、上級用クラブを使う人も多い中で、初級用クラブを敢えて使う方もおり、それは好みの問題です。

プロでも10年以上前のクラブを愛用している人もいますし、それで結果も出ているのです。ただし、初級者が上級用クラブを使うと、難しくて挫折する原因になります。

そのため、まずは人事制度も初級用のシンプルなものから始めて、徐々に自社で運用が上達してきたり、評価者が成長してきて、もう少し制度に拘りたい、となったら難易度を上げていけば良いのです。

3. 制度より風土

繰り返しになりますが、人事制度はツールです。
そのため、変えたからといって大きな変化は望みにくいものです。

制度より風土です。

本当に組織を改善していきたいのであれば、組織風土を時間をかけて強くしていくことの方が大事です。
そのためのツールとして、必要であればまずはシンプルな人事制度から導入していくことをお勧めします。