1. 前職調査

近年はリファレンスチェックや前職調査を行うケースが増えています。

 

最近、あるお客様の企業で、退職した社員の転職活動での応募先から在籍時の様子について電話があり、どう対応したらよいか、という質問がありました。

 

自分が企業人事時代も数は多くないですが、こうした電話を受けたことがあります。

 

もちろん、基本的に候補者からの了解が無い場合、前職について答えることは個人情報の保護に思いっきり引っかかりますので、決して対応してはいけませんし、候補者からの了解があったとして、事前に書類か候補者から直接連絡があって、確証を得てから答えるべきでしょう。

 

・・・・というのが一般論でのお答えになります。

2. 自社視点の重要性

そして・・・・私の考えとしては、前職調査やリファレンスチェックを行っても良いですが、その情報を鵜呑みにしすぎるのはお勧めしません。

 

というのも、前職とこれから働く会社は環境が違うわけで、前職の評価があまり高くない方でも、次の職で活躍することは大いにあるわけです。前職の評判に引っ張られ過ぎると、自社に合う方を見逃す可能性が高まります。

 

だからこそ、自社に合い、活躍してくれる方を見抜く力を持つことに力を入れる方が良いと思っています。

 

自分が人事時代も、選考に関係する部署の社員が、ある女性候補者の前職をたまたま知っており、「気が強く、扱いずらい人」という評判を教えてくれたことがありました。また、書類上転職歴が多く、通常の会社ならNGとなってしまっていた可能性が高いです。

 

しかし、自社独自の視点で見ていた私達採用チームの目には「粗さはあるけれど、実直でエネルギーのある人」とうつっており、将来のリーダー候補になりえる方だと判断していました。

 

結果として、前職の評判は無視され、入社に至りました。入社後、「前職の上司のもとでは話が伝わらず、何もできず、正直つらくて、かなり落ち込んでいた。転職してきて、自分の考えややろうとしていることは間違っていないと思えて、充実している」と話してくれました。私からすると、彼女の健全性を活かせない「場」の方に問題があったのではないかと感じます。

 

彼女は2年でリーダーになり、今では会社の中核として活躍しています。

 

自社と他社とは環境が違います。

 

他社の視点を信頼するのではなく、参考程度にとどめ、目の前の候補者の方と自社の視点で向き合っていくことが大事で、それによって、他社が目を付けない、掘り出し人材と出会うことが出来るのです。