1. 「どこを直せば受かりますか?」

今では人材紹介会社経由での採用は、当たり前になっています。15年前は人材紹介会社に登録できるのは一定のステータスを持った人のみで、転職者全体の10%程度だったのですが、今では候補者の人材紹介会社による取り合いが過熱し、誰でも登録できるようになり、候補者としても人材紹介会社を利用するのが当たり前になっています。

 

人材紹介会社は成功報酬なので、採用が決まらなければ売り上げに繋がりません。そこで、採用決定のために様々な候補者支援をしますし、決まるために企業側へ情報収集をしたり、ときに売り込んだりもします。

 

ある建築系の人材紹介会社の話です。

 

定期的に紹介があり、お見送りとなった場合は、その旨を理由と共にお送りするのですが、通常の会社はそれでやり取りが終了するのに対し、こちらの会社はお見送りの連絡後、必ず毎回「この候補者の方は、どこを修正すれば合格になるのでしょうか?」と聞かれるのです。担当者が変わっても、同様だったので会社の方針なのでしょう。

 

この質問に対して、皆様はどう思われるでしょうか?

 

自分は・・・・正直、この質問をもらうと呆れてしまいます。この質問が来るということは「候補者に対して修正ポイントをアドバイスしただけで、不採用が採用に変わる」と思っているということになるのですが、私は「アドバイス程度で変わるようなポイントだったら、入社後に言えば済む話で、そんな浅いところで選考判断してないわ!!」と全力で突っ込みたくなります。(実際には、それで判断が変わる会社さんもあるのかもしれませんが・・・・)

 

「応募書類の書き方」

「挨拶」

「部屋の入り方」

「質問への受け答え」

「服装」

 

などを人材紹介会社が指導したとして、それでもし合否が変わるのだとしたら、いったい企業は何を見ているのでしょうか?言えば直ることは入社してから言えばいいわけで、本当に見るべきは小手先で変えられるような部分ではなく、候補者が今までの人生で築いてきた積み重ねの「変わりにくい」部分です。弊社は採用に全力を割いてきたからこそ、簡単な指導で合否判断が変わってしまう企業側も、それを当たり前に主張してくる人材紹介会社側も、どちらも滑稽に思えてなりません。

 

もちろん、こうした人材紹介会社の指導によって良いご縁になっていることもたくさんあると思いますが、私達はもっと再現性を求めたくなります。

 

そのためにも、まずは企業側がもっと候補者の本質に向き合うべきで、それがミスマッチを減らすポイントだと思います。